『タカギ』ユーザーのみなさまから寄せられた“「食育」に関するお悩み”を解決する連載。お答えいただくのは、現役の小児科医であり4児の母としてYouTubeで情報を発信する「女医の日常」さんです。
今回は、お子さんの成長にも大切な「栄養」について伺います。健康のためにも、まず大切にすべきは栄養バランスのとれた食事です。しかしこれがなかなか難しく、お子さんの偏食や、食欲の湧きづらい朝の栄養バランスに悩む親御さんは多いようです。
歳の離れた4人のお子さんと大人の食事を日々つくる「女医の日常」さん。医師の視点と知識に母としての経験も交え、お答えいただきました。
栄養バランスで、私が意識していることが2つあります。一つが「色」。一食の中に“白、黒、緑、赤、黄”の5色があると、自然とさまざまな栄養素がとれています。たとえば“白”は、主にエネルギー源や体をつくるもとになる食材。ごはん、じゃがいも、豆腐、白身魚、牛乳など。“黒”は、主に体の調子を整える食材。海藻類、きのこ類、黒ごまなど、といった具合です。
もう一つ意識していることが、「まごわやさしい(豆類、ごま・種実類、わかめ・海藻類、やさい、さかな、しいたけ・きのこ類、いも類)」を取り入れること。これは健康的な和食の基本といわれ、食材選びのヒントにすると、栄養バランスがとれた食事に近づきますよ。
あとは、パスタやカレーライスなど、一品料理ばかりにしないこと。やはりどうしても糖質に偏ります。もしおかずを別に用意するのが大変なら、汁物に野菜やお肉を入れて具沢山にすれば、それだけで立派な一品。ごはんと一緒に食べれば、いろいろな栄養素がとれますよ。
Question 1
食事で奥さんをサポート、素晴らしいですね。お母さんが食べたものの栄養は、そのまま赤ちゃんの成長材料になります。特別なものを大量に食べるのではなく、いろんなものをバランスよく、が一番安全で確実です。
その上で知っておくとよいことは、大きく2つあります。一つは、つわりで食欲がない時期でも、水分と糖分はとれるようにしてあげてほしいということです。赤ちゃんは卵黄嚢から栄養をもらっているので、食べられない時期が少しあっても心配しすぎないで大丈夫。ただ、脱水や体を動かすエネルギーが不足するのは心配です。水分なら野菜と卵が入ったスープやお味噌汁、ごはんのにおいがダメなら果物など、無理しない範囲で食べられるとよいでしょう。
もう一つは、妊娠中にとった栄養素は赤ちゃんの成長材料となり、味覚を形成するということです。私は、脳の発達や骨や歯の材料になる「魚」と、おっぱいのためにもよい「白米」を中心に意識して食べていました。魚は、マグロなど大きな魚は水銀を多く含むので量を控える必要があります。鮭、鯖、イワシ、しらすなど、小さな魚がおすすめです。
妊娠中は、味覚の変化で揚げ物やスナック菓子を無性に食べたくなる方もいます。ただ、塩分が多いものはむくみの原因になりますし、太りすぎないためには和食がおすすめ。控えたほうがいい食品はお父さんも理解して、なるべくストレスが溜まらないよう、お母さんの体を大切にしてあげてください。
基本的にはサプリメントには頼らず食事から栄養をとるのが良いでしょう。ただ葉酸は、不足すると赤ちゃんの神経系発達に重大な影響を及ぼすので、食事に加えてサプリで400μg/day追加することを推奨します。偏食で明らかに野菜を全く食べられないとか、お魚やお肉を食べられないとか、よほど陽に当たらないなど、偏った食事や生活の場合はサプリメントにサポートしてもらうのも良いと思います。主治医の先生に相談するのが良いでしょう。
Question 2
また、ごはんを食べてほしいと思いつつ、食べたらご褒美的な感じでお菓子をあげることで、子どもに無意識ですが、食事よりお菓子の方が上(美味しい)と教えてしまっている可能性があります。午後のおやつを食べても晩ごはんまでにおなかが空いてしまうというお子さんは、たとえば小さなおにぎりを作ってあげて晩ごはんの量を減らすのも手です。
おやつの内容も見直すといいかもしれないですね。長時間、口の中に入っている飴やグミは、虫歯のリスクも高くなります。また、小さなお菓子はちょこちょこ与えたり、だらだら食べたりしがち。飴やグミを禁止とは言いませんが、いつものおやつにするのは避けたほうがいいかもしれません。
おすすめは、果物や小袋に分かれた子ども用のお菓子です。カロリーよりも、心の満足度を大切に。わが家の子どもたちは小魚ナッツが好きなので、それぞれ1袋と牛乳などの飲み物をおやつにしていますよ。
Question 3
朝ごはんは、一日の始まりに必要な栄養素をとるタイミングです。脳をはたらかせ、体にエンジンをかけるものを食べましょう。
一つが、脳のエネルギー源に欠かせない「糖質」です。ごはんやパンはもちろん、果物の果糖は吸収がはやいので朝ごはんにおすすめ。集中力もアップしますよ。もう一つが、体を動かすための「たんぱく質」です。たんぱく質をとると、寝起きのだるさもとれやすくなります。卵、納豆、チーズ、ヨーグルトなどが手軽で、時間のない朝にも食べやすいと思います。
ごはんのほうがパンより腹持ちがよいので、わが家の朝ごはんは和食が多いですね。私がよく出しているメニューは、「鮭か昆布のおにぎり、野菜のお味噌汁、チーズ」です。おにぎりは、2歳の双子は具なしにして、上の子たちだけ具を入れれば、歳の離れたきょうだいでも同じメニューが出せます。おにぎりは海苔が食べられるなら巻いてあげると、ミネラルも補給できてさらに良いですよ。
パンの場合は、「パンと牛乳」だけでもOKですが、できれば「卵料理」もつけられると栄養面もばっちり。あとは、コンビニでも手に入る「バナナとゆで卵」の組み合わせも理にかなっています。朝は寝起きで食欲が湧かないお子さんも多いので、量より質に注目してみてください。
それから、水分をとるのも忘れずに。人は眠っている間にコップ一杯分の水分を汗で失っています。水を飲みたがらないお子さんは多いですが、食事と一緒に飲めるように用意してあげましょう。
お子さんの成長に不可欠な栄養素が「鉄分」です。脳の発達、集中力、免疫機能、そして身長の伸びにも関わります。鉄分は、卵、プルーン、ほうれん草、小松菜などに含まれています。あとはココアも鉄分豊富なので、冬場はホットココアを朝食に添えるのもおすすめ。ビタミンCと一緒にとると吸収率がアップするので、果物と一緒にとるともっといいでしょう。
一人ひとり成長のペースも体質も違うからこそ、これをすれば「絶対に正解」という食事はありません。だからこそ大切なのは、「その子に合っているかどうか」。今回のアドバイスを参考に、無理をせず、ご家庭のペースでできることから取り入れてみてください。毎日の積み重ねが、お子さんの健やかな成長につながっていくはずです。
教えてくれた人
女医の日常さん
小児科クリニックに勤務する小児科医でありながら、小学2年生の長男、5歳の次男、2歳の双子と4児の母。登録者数約14万人のYouTubeチャンネル『女医の日常』で、ルーティン、料理、購入品など、日常や子育てに役立つ情報を発信している。初となる著書『毎日パパっと、からだよろこぶ 女医の日常ごはん』(ワン・パブリッシング)を2025年10月に発売。
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